村八分堂書店

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10文読書感想文-『西洋哲学史』プラトンの項を読んで

知識がどこから湧き出るのか、プラトンの説の方がアリストテレスの説よりも納得出来るものだった。

 

アリストテレスは現にある可能性をしつくすことによって全ての知識は満たされるといったことを主張しているが、それではビッグデータの解析によって、『データの可能性をしつくす』という人工知能以外の知性観が見えづらかなってしまう。

 

プラトンのような知性観、つまりイデアという、未知ではあるが確かにあるものへの確信に誘われることが知識を生むという知性観の方が、人間らしい知性観を反映している。

 

特に、未知のものへ誘われる人間のさがをエロス的だと書いていることが興味深かった。

 

それは未知のものへ誘われる力を合理性に置かず、非合理に置いているということだ。

 

人間は未知のものを、合理的であるが故に求めるというのではなく、その不合理故に求める。

 

『知は無知の知ゆえにはじまり、無知の知に奉仕する』とまとめてみた。

 

我々が経験できる世界は完成せず、誠実な魂が求める欲求も不合理だが、知ることで生きる意味は解き明かせず、むしろ未だ知らないことに誘惑されていることこそ生きようと思える。

 

知らないこと、経験したことないことに誘惑され続ける人間でいたい。